フランスの朝食


朝食はお味噌汁にご飯という塩分をしっかり感じて一日を始めるという典型的な日本人だけど、時々はフランス式の朝食を取るのもいい。夜更かしをして寝坊した週末の朝に、バターの甘みが感じられるクロワッサンにホットショコラ、なんとなく夕べの疲れも癒されたような気にさせられる。

ホテルなどで出るフランスの朝食のスタイルというと、大抵はクロワッサンかパンオショコラを選択。そしてフランスパン。バターにジャム。絞り立てのオレンジジュースにカフェか紅茶かホットショコラ。ゆっくり話に華を咲かせながら、朝食を取るのがフランス式だ。

勿論、家ではなかなかこんな贅沢なフランスの朝食を取ることはしないけれど、たまにカフェなんかでフランス式の朝食を取るのも、特別な朝になるようで好きだ。モンパルナスの有名なブラッスリー「ル・クーポール」で、朝食をいただいた日のことは今でも鮮やかに記憶が蘇る。日曜の朝なので、あまり客もおらずあの大きな店舗の一角にお客が集められていた。アメリカ人旅行客、いつも通っている地元のフランス人に混じって朝食を取る。家でテレビなんか見ながら取る朝食とは全く違う。個別に朝食を取っているのだけれど、どこかカフェで取る朝食はお互いしゃべらずともゆっくりとした朝をお客と共有しているようだ。

「ル・クーポール」の朝食は大きな銀のトレイで運ばれてきた。朝食は豪華そのもので、思わず「わーっ」と声を出してしまう程だった。上記したような典型的なフランスの朝食だ。お味はというと、特別に美味しいという朝食ではなかったけれど、カフェの朝食という雰囲気をしっかり堪能することはできた。20年代の残り香を感じる店内に圧倒され少しそわそわしながらも、朝食を取ることで、この非日常的空間にすとんと迷い込んだようだった。平凡な週末の朝が特別なハレの日となった。

「ル・クーポール」の隣の客はアメリカ人女性2人だった。朝からシャンパンで朝食を楽しんでいる。少し驚きもしたが、ここはパリのカフェ。特別な場所なのだ。この女性達も非日常的空間を精一杯楽しんでいたのだろう。なんとなく微笑ましい風景だった。

 

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