ショコラショーの季節の始まり


いつの間にやら夏が終わり、街の木々たちが色づき始めたパリ。冬が今にも足跡を立ててやってきそうなほど、寒さというものを肌で実感し始めている。晴れ間が少なくて、どんよりとした曇り空のパリ。憂鬱な気分になりそうな季節だけれど、パリには季節毎の楽しみがある。冬の始まりは、何と言ってもショコラショーだ(ホットショコラ)

ショコラショーはフランスに来てから飲むようになったものの一つである。冬になると無性に飲みたくなる飲み物で、寒い外で冷えた身体を温めたい時、カフェなんかで飲むと手足が温まるだけでなく、なんだか気持ちもほっと出来る。フランスの寒い冬の散策には欠かせない飲み物だ。

ただフランスのカフェで出される全てのショコラショーが美味しいというのではなく、パリで本物のショコラショーに出会う確率はなかなか少ない。スーパーで売ってあるようなココアを単に牛乳で溶かしたものを出しているところが多く、それはフランスでもホットショコラというのだが、カフェでそれが出た時は、なんとなくハズレたという気にさせられる。次回はここでショコラショーを頼むまいと思ってしまう。

チョコレートを丹念に溶かして作られたホットショコラに出会う時はただただ嬉しい。ショコラをきちんと溶かして作られたショコラショーは、まずしっかりとしたとろみがあって、一口ごくりと飲むと、とろりとしたチョコレートの厚みみたいなものをしっかり感じることができ、その風味が口いっぱいに広がる。

チョコレートそのものを飲み物の中に感じ取ることが出来るホットショコラが本物で、時々重くそして甘みがくどく感じられるがゆえに、ちゃんとしたホットショコラを出すカフェではお水が必ず一緒に出されている。

ホットショコラにはカフェによって独自のエピスやオレンジが加えられていて、シナモンやカルモダン等のエピスがチョコレートの味の裏に見え隠れするのがいい。チョコレートの単一な味に、エピスの複雑さが加わることによって、ホットショコラは不思議と単に甘い飲み物から一筋縄ではいかない大人な飲み物へと変化を遂げる。

カフェで一杯のショコラショーを飲み終える。冷えた身体も温まり、また寒いパリの街中へ出ようという気にさせられる。

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