懐かしい日本の梅の花


友人のメールにこんな一文があった。「枝で買った梅の蕾が開いてきたよ」。

日本は梅の花がそろそろ咲く季節。メールの一文だけでも、目の前に美しくて、愛らしい梅の花の情景が浮かび、それに伴う情緒が一緒に送られてきたような気がした。フランスでは桜は見れても、梅の花を見ることはない。一気に日本が懐かしくなった。

梅といえば、2年前、北野天満宮の梅苑を見に行った。日本で暮らしていた頃は、桜の思い出はたくさんあっても、梅の思い出はほとんどなかった。日本で暮らした20年の間に、梅はどこかで咲いていたに違いないのだけれど、梅の花を気にしては生活をしていなかった。恥ずかしながら、北野天満宮の梅苑が初めて梅の花の美しさを発見した機会だった。

梅の花について誰かと話すと、意外にも桜より梅の花の方が好きだという人が多い。揃って梅の花は小さくて可愛らしいという。桜の花はその儚さが美しいのに対して、梅の花は力強さが魅力的だと思う。北野天満宮で梅の花を見たとき、寒さの中で立派に花を咲かせる梅の力強さに感動した。可愛らしさの中に、女性的な強さを感じる。あんなに可愛らしい花を長ければ一ヶ月ほど咲かせ、そのあと立派な梅の実をつけるのだから、母親的な強さのある花のように感じた。

昨年、一昨年と2年連続で梅の季節に日本に帰国をした。今年は6月に帰国するので、残念ながら、今年は梅の花を見ることはできないけれど、梅仕事をする予定にしてる。11月に誕生した息子がお酒を飲める年齢になったときに、プレゼントするための梅酒作り。そして、できれば祖母から梅干しの作り方を習い、梅干し作りに挑戦したいと考えている。梅仕事は、昔の日本の家庭では、女性が受け継ぐ暮らしの仕事だった。梅を思うとき、女性的な強さを感じるのは、女性の暮らしに根付いた花だからかもしれない。

 

 

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