今回の日本滞在では一人でゆっくりと京都で過ごす時間も持てた。どこに行きたいかと考えれば、やっぱりカフェでのんびりと過ごしたいとなる。川口葉子さんの著書の中で、「京都は街全体が巨大なカフェのようだ」と語っている。京都には伝統と革新、レトロとモダン、対比する要素がうまく合わさりあって、独特の魅力のあるカフェが多いように思う。それにお客さんとお店の距離が程よく近く、そして居心地のいいカフェ。京都に来る楽しみの中に、カフェ巡りは欠かせないことのひとつになっている。
多くのカフェを知っているわけではないけれど、2年前の桜の時期に初めて来た「かもがわカフェ」はフランスの日常生活の中に戻っていったあとも、心のどこかに残り続けたカフェ。当時は相方と訪れた。四条から鴨川沿いを通って歩いてきた。かなり遠い距離だったけど、桜が満開の時期だったので、楽しみながら歩いたことを記憶している。静かだけれど、静かすぎない、お洒落だけど、お洒落すぎない、日常だけど非日常、なんとも言えない居心地のいい空気感のあるカフェで、私も相方も気に入った。相方なんて日本で一番好きなカフェと言うぐらいだ。
2年とちょっとぶりに訪れる「かもがわカフェ」は何も変わっていなかった。窓から差す光の感じ、コーヒーのポットの湯気、ゆったりと過ごすお客さんたち。以前見た光景がそのままそこにはあった。あーなんて落ち着くのだろう。その日せわしく京都の街を歩き回ったせいもあって、ようやくゆったりと過ごせる時間。持って来た本を読んだりしてみる。そういえばこういった時間最近過ごせていなかったなとふと思う。私には頭を空っぽにして、好きな場所で、ゆったりと過ごす時間は大事なことなのだ。子どもを産んで環境の変化があったのだけれど、昔の習慣は今も身体に染み付いている。
そして肝心の料理も変わらず美味しかった。今回はひじきの豆腐揚げを頂いた。自分でも作ってみたくなったほどだった。(同じ味は再現できないだろうけど)
フランスに帰ってきて、相方に「かもがわカフェ」の話をしたら、行きたかったと少し残念な様子だった。また日本に帰る楽しみのひとつができた。次の帰国はまだ未定だけれど、こういった楽しみがあるからまたこちらの生活も頑張ろうと思えるのだ。