【パリ】マレ地区のスウェーデンカフェで思うこと


 

マレ地区に来ると立ち寄りたくなるカフェのひとつがスウェーデンカフェ。スウェーデンカフェに来る為にマレ地区に来るのか、それぐらいスウェーデンカフェは私の中で、マレと密着に結びついている。

スウェーデンカフェに来ると、やはり北欧の香りがする。北欧といっても、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーは違う国なので、一括りにするのは間違ってはいるのだけれど、このカフェに来ると漠然とだが北欧に来た感じになれるのだ。映画「かもめ食堂」やアキ・カウリスマキのフィンランド映画のような、北欧の時間の流れがここにはある。それはスウェーデン人のスタッフが醸し出す雰囲気のおかげか、明らかにパリの大都会とは違うゆったりとした時間が流れている。素朴でこだまするような温かい雰囲気を感じとることが出来るのだ。

この素朴な温かさはスウェーデンカフェが提供するサンドイッチやスープ、ケーキにも現れている気がする。カフェに入ると、カウンターに置かれているサンドイッチやケーキがまず目に入る。色とりどりで見たからにどれも美味しそうだ。アネットのサーモンのサンドイッチや、スウェーデン特有の合い挽き肉のサンドイッチなどが置かれている。お菓子は、キャロットケーキや洋梨とアーモンドのケーキ、バナナとアーモンドのケーキ、季節のタルトなど毎日提供してくれる。パリのトップクラスの料理やガトーのような繊細な味ではないけれど、誰かの家でおよばれするような手作り感のある温かい気持ちになるようなものばかり。毎日でも食べたくなるような素朴な美味しさ。それがこのスウェーデンカフェの魅力だと思う。

このカフェはスウェーデン文化センターの石畳の庭がテラス席として開放されている。私の周りではこのカフェの魅力はこのテラス席という人も多い。春から秋にかけて晴れた日はマレの散策の合間にこのテラス席で一休みするのも気持ちがいい。都会の真ん中で、貴重な太陽の光を浴びて、美味しいガトーを舌鼓する。なんとも贅沢な時間だ。

でも、私は寒い冬、マレ散策の合間に温まる為にカフェに入り、紅茶と美味しいケーキを頂くのが好きだ。このカフェの空間は、IKEAのテーブルや椅子が置かれており、テーブルクロスは北欧のデザインのものが使われている。何か特別な装飾がされているわけではない。でも、どこか落ち着く空間なのだ。土日は勿論たくさん人がいて混むからなかなか長居は出来ないけれど、平日の冬の午後、本の一冊でも読みながら、この空間にいると落ち着いた気分になれる。コーヒーや紅茶を注文するとおかわりも出来るので、他のカフェに比べ長いこと居やすいってのもあるのかもしれない。この空間で時間を過ごすと、ゆったりと過ごす時間の大切さを改めて認識させられ、温かい気持ちのなって帰路へ着くことが出来る。

このスウェーデンカフェには結構頻繁に来ているのだけれども、一つ叶わないことがある。それは焼きたてのシナモンロールの食べること。たっぷりのバターにシナモンのあの独特の香りが交わったほくほくとしたシナモンロール。毎回スウェーデンカフェに来る度に、「今日こそは焼きたてのシナモンロールがありますように」と、期待に胸を膨らませているのだ。

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