香りのある生活 サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリ


先日、パリのオペラに行く機会があったので、イタリア、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のコスメを扱うAmin-Kaderを訪れた。Amin-Kaderは、ココ・シャネルが常宿としていたホテルリッツがあるヴァンドーム広場のすぐそばにある。高級ブティックが立ち並ぶ通りで、毎回ここを訪れる度、少し緊張してしまう。

サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリは、前から気になっていた。このポプリは前職の職場で使われていた香り。私にとって香りというものは常に記憶と結びついており、思い出の香りを嗅げば、その時の感情が心の中にふわっと蘇る。サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリの香りは前職の苦い経験を思い出のではないかと心配したけれど、意外とそうではなく、ただ単にこのスパイシーで上品な香りにうっとりとした。それほどまでに、この香りは記憶や感情までも超越する魅力があるようだ。

家に帰ってみて、相方にこのポプリの香りを嗅いでもらった。「とても品のあるいい香りがするね」と言ってもらえた。暮らしの空間に置く香りは、一人では決めることはできない。香りというものは、好みもあるし、人によってはある香りは不快感でしかないということもあり得るからだ。やっぱり、一緒に暮らす空間では、二人のお気に入りの香りに包まれて、リラックスした気分で生活をしたい。

サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリを袋から出して、リビングに置いてあるお気に入りのフラゴナールの石鹸皿にのせてみた。部屋中が、スパイシーで高雅な香りに包まれていくのがすぐに感じられた。

子どもが寝静まった静かな秋の長夜、リビングで本などを読んでリラックスをしているとき、この香りが漂ってくる。ゆったりと落ち着いた気分になり、なんとも言えない幸福感に包まれるのだ。

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