子どもが生まれてから、毎年励んでいるのが、保存食作り。ジャムや梅干し(6月に日本に帰国できるときのみ)、醤油麹など、できる限り保存食を手作りするようになった。保存食は先人から伝えられてきた知恵と言われている。子どもが生まれ、伝えたい、受け継いで欲しいという母としての本能なのか、保存食を作りたい!という想いが生まれ、ここ5年ほど作るようになった。
保存食の中でも毎年ちょっとした仕事になるのが、ジャム作り。春から夏の終わりにかけて、6種類ほどのジャムを何十瓶も作る。苺やプライム、ミラベル、桃、いちじくなど、季節の果実をマルシェで何キロも買って一気にジャムにする。
何年か前までは、ジャムを作っても、バター派の夫、甘いものが苦手だった長男がそこまで食べてくれないことがあって、ジャムがなかなか減らないということが多々あった。せっかく作ってるのになぁと少し残念にも思ったけれど、2年ほど前からか、長男が私のジャムが美味しいと言ってくれるようになり、最近は春頃になるとジャムがもうないなんてこともあるようになった。毎年、ジャム作りに励んでいる私にとっては嬉しい限りだ。
ジャム作りは果実の皮を剥いたり、種を取ったりと結構面倒なことも多い。思い切って3キロの果実を買ったときなんかは、包丁を持つ手が痛くなってきて、ああ買い過ぎたと後悔することもしばしば。なんとか皮を剥き、鍋に入れ、砂糖を入れて、煮始めると、果実と砂糖が混じったいい匂いが台所に漂う。めんどくさかった作業が一気に報われる瞬間だ。
果実によっては、煮詰める時間に違いがある。時には1時間も煮詰めなくてはならない時があるほどだ。果実から水分が出て、ジュースみたいにサラサラな状態から、とろみがつくまで、煮詰めなくてはならない。夫になんでジャムの鍋をずっと見ているのと不思議がられることも多いのだけれど、私は、このジャムを煮詰める時間が好きで、ただ単にボーッと鍋をかき混ぜながら見ていることが多い。子育てと仕事に追われる日常の中で、ゆったりとジャムが出来上がる過程を見る無意味のような時間が、かえって心にゆとりをもたらしているように感じるからだ。
それに、ジャムから目を離し、他のことに気を取られている間に、ジャムが焦げてしまったという失敗も多々あった。ジャム作りはただ煮詰めるだけというわけにはいかないのだ。
そして、ジャムが煮詰め上がり、瓶に入れ、圧抜きをして、冷ます。瓶が並んでいくのが嬉しく、今年もたくさんのジャムを作れたなぁと我ながらちょっぴり誇りに思うのだ。
さて、春も近づいてきたこの頃、ジャムは残り3瓶ほどになってしまった。少し気が早いのだけれど、ジャム作りの季節が待ち遠しい。